自民党総裁選が終わりました。金融所得課税など、政策の違いは不動産投資においても利回り水準の変動など、大きくかかわってくる要素です。今後の政策に注目ですね。
さて本日は、ネット上で、「第一回投票で高市候補が1位であるのに、わざわざ決選投票をする意味が分からない」という声があったため、多数決について簡単に考察してみます。
まず、社会的な意見を多数決で決定する場合、数学的に完全に民意を反映できる方法はありません。これは「アローの不完全性定理」という形で証明がされています。
今回、単純な多数決では高市候補が1位でした。つまり、高市候補が一番いい!と思っている人が一番多かったわけです。一方、一番いいと思う人が最も多ければそれが理想かというと実はそうではないのです。
次の例を考えてみましょう。
例はお昼ご飯に関する優先順位(得点)と多数決の結果とします
Aさん | Bさん | Cさん | Dさん | Eさん | Fさん | Gさん | Hさん | Iさん | ||
ラーメン | 1 | 3 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 2 | 3 | |
うどん | 2 | 2 | 1 | 1 | 1 | 3 | 3 | 3 | 2 | |
そば | 3 | 1 | 3 | 3 | 3 | 1 | 1 | 1 | 1 |
これは各人がどの昼食を食べたいかを点数で表しており、例えばAさんはそばが最も食べたく、ラーメンは最も食べたくないと理解してください。
各人このような昼食の希望を持っているとき、みんなで行く昼食はどこに決まるでしょうか。
単純な多数決を行うと、3点のところに各人投票するため最も3点の多いそばに決まります。(1位にだけ表が入るのでラーメン2票、うどん3票、そば4票となります)
でもそばに行くのが一番いいでしょうか。そばは1番行きたい人が多い反面、一番行きたくない1点の人も多いですよね。
ここで、そばの得票は過半数に届いていないので、1位のそばと2位のうどんで決選投票をしようということになったとしましょう。
そうすると、うどんとそばの比較で点数の高いほうに得票が入りますので、うどん5票、そば4票となり、単純多数決で2位だったうどん派が決選投票で勝利します。
今回の総裁選はまさにこのようなことが起こったのでしょう。
圧倒的に支持者と不支持者がきれいに分かれてしまうような候補は決選投票というシステムに弱いのです。極論をとりにくいシステムと言い換えられるのかもしれません。
このシステムで選ぶと、どちらでもない、どっちづかずな、当たり障りのない候補が選ばれやすくなるという特徴があります。
いいか悪いかは別として、多数決には様々な方法があり、その方法によってどのような候補者が選ばれやすいかということは覚えておいてよいでしょう。
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