ミランコビッチサイクルの解説

こんにちは。Bearringです。

今回は、地球の気候変動に関係すると言われるミランコビッチサイクルについて解説します。

ミランコビッチサイクルとは、地球の公転軌道の離心率、自転軸の傾き、自転軸の歳差運動という3つの要因によって、地球が受ける日射量が周期的に変化する現象です。

この日射量の変化が、氷期と間氷期という気候の寒暖サイクルに影響を与えると考えられています。 ミランコビッチサイクルは、セルビアの地球物理学者ミルティン・ミランコビッチが1920年代から1930年代にかけて提唱したもので、当時得られる最高精度の公転軌道変化の理論を用いて、過去の日射量の緯度分布と季節変化を計算しました。

その後、1970年代に海洋底のボーリング調査で採取されたサンプルに遺された微生物化石の酸素同位体比から得られる気候変動の周期は、ミランコビッチの計算とほぼ一致することが分かりました。

では、具体的にどのような要因がどのような影響を与えるのでしょうか。この要因は大きく3つ

  • 公転軌道の離心率
  • 自転軸の傾き
  • 自転軸の歳差運動

があります。

まず、公転軌道の離心率とは、地球が太陽を中心とする楕円軌道上を回っているとき、その楕円の形状がどれだけ円からずれているかを表す指標です。離心率が大きいほど楕円が横に伸びた形になります。

離心率は約10万年の周期で変化し、楕円が最も伸びた形から最も円に近い形まで変わります。この変化によって、地球と太陽との距離が最大で1827万kmも変わります。

これは太陽からの光量に影響を与えます。現在の氷期サイクルの周期は約10万年であり、離心率の変動周期と一致しています。

次に、自転軸の傾きとは、地球が自転しながら公転しているとき、その自転軸が垂直からどれだけ傾いているかを表す角度です。

自転軸の傾きは約4.1万年の周期で変化し、21.5度から24.5度の間を振動します。現在は23.4度であり、約11,800年後に極小となります。

自転軸の傾きは季節差に影響を与えます。傾きが大きいほど季節差が大きくなります。

例えば、北半球で冬至に近い日における北極点から赤道までの日照時間の差は、傾きが24.5度のときには約8時間ですが、傾きが21.5度のときには約6時間になります。

このように、自転軸の傾きの変化は、地球の気候にも影響を与えます。

最後に、自転軸の歳差運動とは、地球の自転軸の向きが、公転しながら周期的に変化することです。

これはコマの首振り運動と同じ挙動を示します。歳差運動の周期は約2万6000年です。この変化によって、地球の季節と公転位置の関係が変わります。

例えば、現在は北半球で夏至に近い日に地球が近日点にあるため、夏が暑く冬が寒いですが、約1万3000年後には逆になります。このように、歳差運動の変化も、地球の気候に影響を与えます。

以上がミランコビッチサイクルの解説です。ミランコビッチサイクルは、地球の気候変動を理解するための重要な手がかりですが、それだけでは説明できない部分もあります。

実際には、大気や海洋の循環や化学組成、生物活動や火山活動など、様々な要素が相互作用して複雑な現象を引き起こしています。

ミランコビッチサイクルを含めた地球システム全体を総合的に考えることが必要です。

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