最小限の投資で税理士試験2科目の合格を目指したシリーズ第6回です。
前回はこちら
6.学習の方針
の後編です。
どのくらいの範囲を学習するか
税理士試験の簿記論では大原採点で50点くらいが取れればいいと、ネット記事がありました。
よって目標としては、試験問題の6割くらいの範囲をカバーし、その6割の問題を9割の精度で解答することで54点を取る。というところに設定しました。
上記の基準から言えば合格できるはずです。
ということで、テキストの勉強する範囲のうち、6割くらいをまじめに学習し、その部分は個別問題集もしっかり確認することで基本論点の漏れを作らない。
それ以外の4割は、本当に誰でも解けるような基本論点が出た場合のみ、白紙を避けるレベルの勉強をする。
つまり、一言で要約してそれだけ確認するレベルの勉強をするようにしました。
(例えば、〇〇の処理は〇〇を減少させ、〇〇が増えるというレベル感です。借方、貸方を意識したフレーズ化したり、上記事業分離なら、分離先によって処理方法が変わるとか、基本は交換取引と同じ基準で判断するとか、詳細は分からないけどなんとなくイメージはわかる程度把握しています。)
わかりやすい例では、今年の簿記論でも出題された総合償却は、「耐用年数は加重平均」とだけ覚えておりました。
それ以外は練習問題を解いてもいませんし、テキストもほぼ読んでいませんでしたが、本試験でも加重平均を単純に行うだけで正解ができています。
本番試験でこのキーワードだけあればなんとなく解けるんじゃないかなということだけ確認するイメージです。
誰もが解けるレベルの問題を取り逃さないという目的の確認であれば、ほとんど時間をかけずに行うことができるはずです。
簿記の場合、借方と貸方に当てはめると解けてしまったり、加重平均や単純平均、時間価値の割引などで簡単に解けてしまうものも少なくありません。
会計学は実学ですから、理に合わないような変な処理は普通ないはずです。
「この資産が減るのだから貸方に書こう」というようなことは、簿記を勉強したことがあればみんなわかることだと思います。
よってそれらの常識や、ほかの論点で培った知識で何とかなりそうであれば、仮に勉強していない範囲であっても、解きに行きます。
勉強しない=出題されたらあきらめるではありません。
覚えなくていいものは覚えない
税理士試験はその特性上、回答のための計算の前提(数値等)を与えなければなりません。
よって、その数字が与えられる結果、もう「そうやって組み合わせなければ計算した結果が妥当な数字の範囲に収まらない。」というものが多くあります。
(割合や利率などが与えられた結果、このように四則演算しないと、常識的な範囲に金額が収まらないことがわかってしまう)
計算式の手順的な会計基準を覚えていなくても、この数字が問題文にあって、求めるのが貸借対照表計上額であれば、こう組み合わせて計算しないと、その水準の数字にならないよね。ということがかなりの割合であります。
ですので、そういう出題のされ方しかないであろうものは飛ばしています。
(理論の理解が不十分であっても、本番で時間があれば組み合わせから答えが推察できるため)
まとめ
あくまで1回受験してみたうえでの個人の感想ですが、結果から言うと上記の方法が多分税理士試験では効率が良いのだろうと思われました。
税理士試験の問題内容自体は、じっくり時間をかけて、例えば4時間あれば完答できるレベルであり、「模範解答を見てしまうと」絶対に理解できないと思うような問題はそうないと思います。(もちろん4時間あってもだれも解けない奇問もあると思いますが)
この試験の難しいところは、
- 時間が少ない割に問題が多いこと。
- 問題文の日本語の解釈の仕方が様々考えられること。
- 公式な解答も発表されないという特性上、どのように対応していいか判断が難しいこと
が主なものだと思いました。
ですので、過去問の回答では、問題の解釈がこうだったのかというところから自分の認識と齟齬があったりしました。
これは税理士試験簿記論・財務諸表論の特徴というか、変えられない部分かと思いますので、試験を受ける立場である以上はこちらが合わせざるを得ない部分かと思います。
一方で、結果としてクレアールさん以上に非常識な切り捨て方でも合格できていますので、要領よくやる方法もあるのだと思います。
また、この勉強法を実施する上では、当日の解き方がむしろ大事になると思います。
もともと税理士試験は解くべき問題と飛ばす問題を見切る能力が重要といわれますが、この勉強法ではそれが顕著です。
解くべき問題しか勉強していないこの勉強法は、必然的に試験当日飛ばすであろう問題は、そもそも解くことができない(解けるだけの勉強をしていない)ので、取捨選択がとても効率的に進みます。
これは専門家を養成する試験の解き方としては、あまり望ましいとも思いませんし、このように穴だらけで合格してしまう試験というのはいかがなものかと思いますが、税理士試験がそういう試験である以上、効率を重視して合格を目指すというのも一つの選択肢ではないかと思います。
個人的には、専門職業人である士業の試験である以上、どの範囲の問題が出ても解けるだけの広範な知識を要求し、かつそれを確認するために1題あたりにしっかり時間をかけられる出題があるべきではないかと思いますが、税理士という性質上、限られた時間で大量の資料を処理し、正確な答えを出さなければならないという実務を踏まえた試験の出題なのかもしれません。
次回
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