時間は無限ではありません。
不動産鑑定士試験がなぜ難しいか。それは膨大な試験範囲と、その試験形式(論文式)にあります。
論文式試験は、その特徴から、短答式のように、あいまいな理解で挑んでも、全く答案を書けません。
論文式試験全般に言えますが、このタイプの試験は、原理原則をしっかり暗記・理解し、それがどういう背景のもと成り立っているかを把握し、具体的に実務ではどのように使われているのかを知る必要があります。
このステップを経なければ論文式試験の回答は書くことが困難であるため、初学者がそこそこの成果を出すまでにかなりの時間がかかってしまい、挫折率が高く、難関試験と思ってしまうのです。
特に、ある程度の暗記ができていなければ、解答用紙に何も書けないため、無力感もひとしおです。
では、論文式試験に短期一発合格に必要なことは何か、それを一言でいえば、
・原理原則の根幹をしっかり理解すること
です。
なぜこの理論が成り立っているか、その原理原則を把握していれば、どのような問題が出ても実はその類推で、こういう背景のものこの制度はあるのだから、こういう回答になるはず、という具合に、後は論理的な思考力で解答を書くことができるようになります。
これが最も重要です。
しかし、その原理原則自体が実は難しいというかとっつきにくいのがのが不動産鑑定士試験です。
不動産鑑定士試験で暗記が重要といわれるのは、暗記作業を繰り返すうちに、基準の中にばらばらにちりばめられている文言が頭の中で結びつき、自然に理解が形成されてくる経験を多くの人がしているからだと思われます。
税理士試験や公認会計士試験では、基準の丸暗記は必要ないですが(というか効率が悪い)、鑑定士試験は、丸暗記をした方が理解が早い、丸暗記の中で理解が進むという現実があるのだと思います。
(これは、会計基準は比較的新しいもので(特にASBJのもの)、解説も豊富で設例もあり、理解しやすいのに対して、鑑定評価基準はベースが昭和中ごろに作られ、中身がわかりにくく、大切な内容がとびとびに記載され、あまつさえ、基準と留意事項に分かれて別の冊子に書かれているなどの不親切さが理解をしづらくしています。さらに鑑定評価基準は会計基準と比べて分量が少ないことも暗記のほうのルートが効率的といわれる原因と思われます。)
よって不動産鑑定士試験に関しては、理解が大事という大前提のもとに、上記を実現する行動のプランとして、暗記を最重要視して行うという形になるのです。
時間の絶対量はみんな同じです。
その中で短期合格したければやるべきところを絞り、メリハリをつけるしかありません。
その基準の理解のもとに、論点の取捨選択を行い、枝葉は気にせずみんなができる部分(幹)を確実にするという効率化が重要です。
また、教養科目はあくまで教養です。効率重視を徹底するならば、配点300点の鑑定理論偏重での勉強が最も効率的です。
教養は足切りにならないレベルを目指し、得意科目を1つ作るのがよいでしょう。
特に、100点を目指せる科目(演習、得意なら経済)を確実に伸ばすことが受験Tipsとしては重要です。
なぜなら、論文式試験は、1点の重みがとても重いのです。
みんながどの科目も60点近辺に寄る採点方法がとられますので(重みづけ配点などによって)、どれだけきれいな解答を書いても、100点を民法の論文で書くのは、それこそ司法試験レベルの人でもないなら不可能です。
その一方、演習や経済学は、ちょっとした努力で、100点を現実に取ることができる科目です。
1点、2点で合否を分ける試験なので、60点が標準の採点形式の中、100点があるなら、大きなアドバンテージになります。
このような試験形式の穴をつくような方法も不動産鑑定士試験は可能です。
是非、受験生時代はずるがしこく戦略を立ててみてください。
コメント