積み立ての想定でのインフレ率と償還基金率(資本的支出の計上額を例に)

不動産鑑定
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不動産鑑定評価における収益還元法の適用における資本的支出の計上額の査定において、n年後の修繕を想定し、積立額を計上する。

との考え方で資本的支出を査定している評価書は多いと思います。

また、その考え方は正しいものと思います。

一方でその積み立て額の計算は正しいでしょうか。

一般に資本的支出は建物の再調達原価の0.3%~1.5%くらいのレンジで使われていることが多いと思います。

ここではそれが正しい水準かを検討します。

設例

  • 延床面積10,000㎡の事務所ビル
  • 再調達原価は40億円
  • 築20年(5年前に大規模修繕を実施)
  • 大規模修繕は15年に一度行う想定
  • 大規模修繕のコストは再調達原価の約20%(8億円)

とすると、10年後に次回の大規模修繕を行うことになります。

前回の大規模修繕から5年が経過しており、すでに(5年/15年)分の2.7億円の費用は発生していると考え、残りの5.3億円を10年で積み立てることになります。

ここで、インフレ率を1%とすると、10年後の5.3億円は5.8億円となります。

また、積み立てに関する利回りを0.5%とすると、その償還基金率は0.09777となります。

これを7.3億円に乗じると年あたり積立額は57,000千円となります。

よって再調達原価に占める割合は約1.4%となります。

上記はざっくり設例用の数値ですが、一般的に使われている資本的支出の水準感はこのような計算から裏付けを確認することができます。

具体的な計算のための資料は、対象不動産の実績や計画があればそれを用いるべきですが、情報がない場合には下記の統計資料等が参考になると思います。

修繕費用算定のための資料

官庁営繕の資料になりますが、

建物のライフサイクルコスト監修/国土交通省大臣官房官庁営繕部
編集・発行/一般財団法人建築保全センター

出版図書のご案内(建築物のライフサイクルコスト) 一般財団法人 建築保全センター / BMMC
一般財団法人建築保全センターは、建築物の維持管理や改修など保全に関する調査研究・企画立案・技術開発等の業務を通して、公共建築物の適正な保全を支援します。

は建物の規模別、設備別に大規模修繕に要する単価が記載されており、参考になると思います。

また、各都道府県、市町村が、公共施設総合管理計画、公共施設個別施設計画という、公共施設マネジメントに関する計画書を公表しています。

こちらには、当該自治体が建物大規模修繕を行うにあたり、どのくらいの単価で、どのくらいの期間で行うかを詳細に記載しているため、対象となる自治体の特性に合わせた数値が確認できると思います。

(自治体により完成度に大きな格差はありますが・・・)

上記資料では、例えば40年に一度長寿命化工事を行うという修繕機関に関する内容ですとか、毎年の維持管理費はこのくらいという維持管理費・経常修繕費に関する内奥などを、自治体の過去の実績や国土交通省の資料に基づいて記載しているため、客観的な情報を得ることができます。

もちろん不動産には個別性があり、それぞれの不動産の実績や、すでに計画されている修繕計画があるのであれば、それに基づいた計上や想定を行うことがマストであることは言うまでもありませんが、地方の中小ビルなどで、資料の入手ができない・作成していない場合などには、このような統計情報が一つのよりどころとなると思います。

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