フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章⑥(地域分析⑤)

不動産鑑定

やわらかい言葉で不動産鑑定評価基準及び留意事項の6章がつまり何を言っているのかをざっくばらんに、実務的な観点を踏まえながら解説・コメントしています。

(引用符で引かれた項目はすべて国土交通省の不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項からの引用となっています。)

第一回はこちら(補足説明等込み)

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章①
鑑定評価理論を学ぶ上でイメージがつかみにくく、最後まで暗記・理解が難航するのは第6章ではないでしょうか。 この連載では、やわらかい言葉で不動産鑑定評価基準及び留意事項の6章がつまり何を言っているのかをざっくばらんに、実務的な観点を踏まえながら解説・コメントするものです。(全文解説します。)

前回はこちら

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章⑤(地域分析④)
①近隣地域の地域分析は、まず対象不動産の存する近隣地域を明確化し、次いでその近隣地域がどのような特性を有するかを把握することである。

③近隣地域の地域分析においては、対象不動産の存する近隣地域に係る要因資料についての分析を行うこととなるが、この分析の前提として、対象不動産に係る市場の特性や近隣地域を含むより広域的な地域に係る地域要因を把握し、分析しなければならない。このためには、日常から広域的な地域に係る要因資料の収集、分析に努めなければならない。

地域分析においては、資料の分析を行うことになりますが、この地域の分析に当たっては、当該地域内だけでなく、より広域的な地域の動向も収集し、分析することが必要となります。

現代ではインターネットを駆使して広域的な情報を入手することは当該基準設定時よりもはるかに容易となっておりますが、それでも広く地域の動向などを把握しておくことが必要です。

不動産価格の変動は一つの波のようなものですので、地域を時系列的に追っていくということが、その価格水準を検討する上で重要な判断材料となります。

④近隣地域の地域分析における地域要因の分析に当たっては、近隣地域の地域要因についてその変化の過程における推移、動向を時系列的に分析するとともに、近隣地域の周辺の他の地域の地域要因の推移、動向及びそれらの近隣地域への波及の程度等について分析することが必要である。この場合において、対象不動産に係る市場の特性が近隣地域内の土地の利用形態及び価格形成に与える影響の程度を的確に把握することが必要である。なお、見込地及び移行地については、特に周辺地域の地域要因の変化の推移、動向がそれらの土地の変化の動向予測に当たって有効な資料となるものである。

こちらは地域の変化について述べているところです。

ひとつ前の項目でも記載しましたが、不動産価格の変動とは波のようなもので、テント店の分析ではなく、線としての分析が有効となります。(時系列的に分析することが重要)

ある地域の価格形成要因の変動が、時間が経過するにつれて他の地域に波及していくということが不動産市場の特徴でもありますので、その地域の地域要因の推移そのものや、近隣への波及効果の分析が有用であることが述べられています。

また、特殊論点として、見込地や移行地については、その価格水準の把握が困難ですが、上記の地域要因の波及効果を考えると、周辺地域の地域要因の変化や推移・動向を考えることが分析の助けになります。

次回

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章⑦(地域分析⑥)
近隣地域の範囲の判定について近隣地域の範囲の判定に当たっては、基本的な土地利用形態や土地利用上の利便性等に影響を及ぼす次に掲げるような事項に留意することが必要である。

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