予備校のテキストでは試験に出やすい論点、出にくい論点、重要性が高い論点、低い論点などに、ABCのような重要度を振っていることが多いでしょう。
これは試験の出やすさを表すとともに、受験生が抑えておくべき基礎レベルや、みんなができそうな部分を表しているという意味ではとても重要な指標です。
重要度Aの論点を抑えていないということは、みんなができる問題を自分だけが解けないということになるからです。
競争試験においては、みんなができるところをできる必要がありますので、この基準は大方の人が同じ教材を使って勉強している以上、とても参考になります。
一方、試験に出やすい・出にくい論点ではなく、出しやすい、出しにくい論点という観点で見るということも重要だと私は考えています。
大学で講師をしている経験上、試験問題で問いたい論点という観点のほかに、試験問題にしやすい論点という見方があるためです。
これは各論点を勉強するたびに、これが試験に出題されるとしたらどういう問われ方があるだろうかという考え方です。
たとえ重要性がAの論点であっても、この論点を試験に出すとしたらどうやって聞くのかということが思いつかないような論点があります。
私はそのような論点は重要度にかかわらずあまり立ち寄らないようにしていました。
出題のされ方が思いつかない以上、論点は重要かもしれないけれど本試験の問題にはならないだろうとの一種の足切りです。
無限に時間がある人ならよいでしょうが、大体の人は会計士・税理士・鑑定士などの難関資格を受験する場合、膨大な試験範囲を限られた時間で習得しなければならないため、一番重要なファクターはどこを勉強してどこを捨てるかになります。
この考え方は捨てる部分を選ぶ際に一つ重要な指標であったと思っています。
なお、この取捨選択の基準はこれは過去問のやりこみで判明します。
こういう問題の出し方をする試験であれば、この論点は問題として出しにくい、出し方が思いつかない。
出せても配点は大きくなりにくい問題になる、独立問題として出すしかなく総合問題に組み入れにくいため、落としても連鎖的な失点にならない、ほかの問題の得点に影響しないなどがわかるようになります。
このような感性を磨くことで捨て問を作りやすくなります。
この感性を磨く上では、どの論点を聞いているのか、聞きたがっているのかを問題から把握するトレーニングも有効です。
例えば、その他有価証券であれば、
- 償却原価法を聞きたいと思っている問い
- 期末評価を聞きたがっている問い
等が考えられますが、
各論点をごちゃまぜにすると、一つの解答欄でその論点ができたかどうかを判断することは出題者としては難しくなります。
よって、解答欄ごとあるいは有価証券の種類ごとに一つの論点を配置したいと思うのが出題者の考えとなります。
- この回答欄では償却原価法が理解できているかを問おう
- この回答欄では未収利息の考え方が理解できているかを問おう
という具合に、分けるわけです。
- A株式は期末評価だけ
- B株式は未収利息だけ
のように分割します。
よって
A株式に期末評価を行って外貨換算をして未収利息の処理をして買入償還をしてその結果を1つの解答欄に書かせるという方式はきちんと採点を考えている出題者はしません。
(競争試験であるこれらの試験を受けるうえではどこまでの内容が理解できているかを段階に分けて細かく採点する必要があると考えられるためです。少なくとも誠実な出題者であれば)
よってこの問題はどの論点を聞きたいのかという観点から考えると、解きやすいというのも、この観点を生かす回答方式として覚えておくと良いかもしれません。
少なくとも私は不動産鑑定士試験、宅建試験をはじめ多くの国家資格・検定試験の受験においてはこの考え方をもって合格しています。
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