1ドル140円時代 結局円安は良いのか悪いのか

不動産実務

円安が進行し、1ドル140円を迎えようとしています。

これはおよそ24年ぶりとのことで、24年前、つまり1998年以来です。1998年とはアジア通期危機の真っただ中であり、日本では消費税増税、日本長期信用銀行・日本債券信用銀行の国有化が行われた時期です。

この時期の水準まで通貨価値が下落した。といえばセンセーショナルでありますが、インターネット上では、良い円安、悪い円安などの言葉が飛び交い、円安は必ずしも悪いものではないという意見もあります。

本稿では結局円安で良いこと、悪いことは何なのか、それをまとめたいと思います。

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良いこと

輸出企業は業績好調になる

輸出企業の売上は1ドル100円だったものが1ドル140円になると円換算で1.4倍になります。

よって国内の決算を見ると売上高は高くなります。

一方、輸入物価は上がり、仕入れ代金は上がることも考えられますので、必ずしもプラスの影響だけとは限りませんが、トップラインの売上高が増加することは間違いないでしょう。

人口減少化の日本において、海外での売り上げが好調となるのは、将来的にみてもプラスでしょう。

外国からの消費・投資を呼び込みやすい

外国人が日本に来て購入するもの、外国人の日本国内への投資は、外貨としては同じ金額でも日本国内で購入できる実質金額が高くなるため、割安となります。

これにより、消費レベルでは日本への海外観光客の呼び込み、投資レベルでは有価証券への投資による日本株価上昇、設備投資などの国内誘致等の影響があります。

特にこの円安が続くことにより、日本に工場等を誘致することができると考えられている人も多く見受けられます。

海外に出ていった各種の産業を日本に呼び戻すことは日本の活性化につながるため、円安を誘導したいという政策はこれまで長期にわたり行われてきたと思います。

一方で、これは通貨安だけで解決できる問題ではないため(人材の量、質等様々なハードルがあります。)あくまで一要素であると思います。

外貨建て資産は価値が上がる

円安が続くと、現在外貨で持っている資産の円換算額は上昇することとなります。

このため、円安が進行するとみているならば、一部のお金を外貨にしておくことも有用です。

一方これが一時的な円安であるとみている場合には、ただ単に割高で外貨に投資してしまうこととなるため、今は静観の時ということになります。

これまで外貨で資産を築いてきた方は、円安のタイミングで円に戻しておくのも一案です。

悪いこと

輸入物価が上がってしまう

単純に1ドル100円だったものが1ドル140円になると価格は1.4倍になります。MetaのVRゴーグルの大幅値上げなど、海外で作られるものは国内価格が高くなり、購入が難しくなります。

これは企業・家計双方に影響があり、企業では仕入れコストの増大、家計では生活費の増大へとつながります。

特に、現在はグローバル化の進展により、ある産業の大部分は輸入頼っているというものもあります。

輸入物価が上がったから購入しない。という選択肢がないものも多いのです。

日本の資産が外国に買われやすくなる

日本の資産は外国から見たら割安となります。

バブル期の円高で日本人がニューヨークの不動産を買いあさったように、日本の資産が海外勢力に買いあさられることが考えられます。

これは、株価や不動産価格を高く維持する効果がある一方、貴重な日本の不動産が海外勢力に買われるリスクもあります。

安全保障面での対策などが不十分な現在ではそちらのリスクも考えないといけないこともあるかもしれません。

海外への投資がしにくくなる

日本から海外への投資は、外貨そのものの価値が高くなってしまう以上買いにくくなります。

例えば、アメリカでは100ドルの価値がある株も、日本では10,000円から14,000円となれば、買いにくくなります。

個人の投資だけではなく、国内企業の海外進出のハードルも高くなり、貴重な投資機会を逃してしまう可能性もあります。

最後に

結局円安で得をする人は良い円安、損をする人は悪い円安と主張しているに過ぎないと思います。

発信者の意図をくみ取りつつ情報を利用していくことが大切です。

また、為替はどちらに動くか予測ができないものです。どちらに動いてもいいようにふるまうことがリスク低減につながります。円安が進むという言葉に乗せられて全資産を外貨に!と行動してしまうと、逆の動きになった際に大変なことになります。

過度に不安をあおる情報には惑わされず、激変期には逆に冷静にいることが大切です。

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