【寄稿】気象予報士試験第52回実技試験(令和元年度第1回)実技2 解説

本稿は筆者Bearringの寄稿になります。

留意事項等は下記リンクページをご参照ください。

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問1

(1)

⑥は過去天気なので、「弱い」を入れると間違いになります。

(2)

こちらは湿数がおおよそ3度以下のところには雲ができていると判断し、気圧を読み取ります。

他年度の過去問では、湿数=0のところを雲低高度とする回答もありましたが、臨機応変な対応が必要なところだと思われます。

館野は800か810か微妙なところですが、804.9999・・・までは800に入ると考えると回答通りの読み取りとなります。

(4)

345、348いずれでも大丈夫で、かつ次の問題にも支障ありません。

線の間隔から348のほうが望ましい(集中帯南端を形成している)と思われます。

上記の等相当温位線を目安にそれよりも1度ほど暖気側に線を引きます。

地上の風シア等ほかの目印はないと思われますので、正確に解答例と同じ位置にひくのは無理だと思います。

なお、台湾付近の気圧の尾根は通らないように留意する必要があります。

問2

(1)

位置や移流、上昇流等は見たままです。

そしてこの回答の要素がそろうことが温帯低気圧の発達要件になっているため、発達傾向が答えとなります。

トレーシングペーパーで写し取れば一目瞭然です。

dは30m刻みで答えるとの指示があります。

位置としては等高度線の間にありますから、5550mとなります。

1000hPa高度が最も低い8日9時を基準とすると、

地上付近では80m高度が下がったことになります。

5000hPa高度では210m下がっていますから、地上との高度差は小さくなっています。

高度差が小さくなる⇒層厚が小さくなる⇒気温は低くなる

ということですからア「低下する」が正解となります。

トラフは基本的には高度を変えずに引くことになりますが、今回高度を変えずに5520mから引き始めると、負渦度域を通るか、等圧線の間隔が広くなっているところを通らないと引くことができません。

トラフ解析の基本は等高度線の曲率が大きく、間隔が狭いところになりまし、ふつうは正渦度域を通るものですから、試験の場で負渦度域を通る解答はしにくいでしょう(過去問では一度そういう解答もありましたが)。

今回は、正渦度極大値の+119を目印に、等圧線の曲率が大きくなっているところを通します。

次の時間にかけてこれが深まっていくことになります。

中心を通る等相当温位線はトレーシングペーパーですぐわかります。

トラフBと地上低気圧の距離は近づいていますので、結びつくという表現が妥当だと思います。

相当温位分布の変化は、24時間後の朝鮮半島西部にあったときには、中心と相当温位線の集中帯は離れていましたが、48時間後には低気圧中心が等相当温位線の傾度が大きい部分と重なっています。

これまでなかった等相当温位線の集中帯が新たに出来て、低気圧中心の「中心」をとおっているため、解答例のような表現となります。

形成されるという表現をこの図から読み取るのは非常に難しいと思われますが、「変化」に着目する必要があるため、類似の表現は必要となります。

(通っている。というような表現ではNG)

(2)

曲率が最も大きいところを狙ってトラフを書き、経度を読み取るだけです。

どれくらい移動しているかの目安は周辺の風速情報でアタリをつけます。

風速と同じくらいのスピードでトラフが移動するためです。

このような問題の時は、トラフの開始点と終了点は考えなくてよいため、曲率や渦度極大域を目印にさっと引いてしまうことです。

時間配分にも気を使いましょう。

なお、例のトラフA自体が1度くらいの幅をもって引かれているため、回答に1度程度の誤差は出てしまうのではないかと思います。

移動の速さ

トラフは南北に長さがあり、どこから測ればよいのかは難しいところですが、前問の5700mとの交点という文言をヒントにここを起点に移動距離を測ると20ノットが導けます。

図9下の相当温位場を見るとトレーシングペーパーで写した低気圧中心は相当温位線が上に凸の領域にあります。

その中でもLスタンプの上で相当温位線が込み合っていますから、相当温位傾度の大きいところにあります。

相当温位の尾根という用語は他年度の過去問では見たことがありませんが、相当温位線が北に凸な領域の西側にあり、相当温位傾度が高い部分にあることは図から見て取れます。

図8右下を見ると、低気圧から少し離れて東は湿潤域で、低気圧中心付近は等湿数線が込み合っています。そして低気圧の西側では乾燥域が広がっています。

よって東側の湿潤域と西側の乾燥域に挟まれ、湿数傾度が大きい位置にあります。

トラフとの位置関係はトレーシングペーパーを使うと一目瞭然で、トラフの進行前面に低気圧があります。

解答例の下層暖湿空気が北に突出するところとは相当温位線が北に凸の部分という意味合いです。

相当温位線というのは人間が解釈で付け加えている解析値ですので、どのようなところにという状態を聞かれた際には本来暖湿空気等、大気の状態を表す文言が望ましいのかもしれません。

こちらは②の回答と同じく、北に凸の部分の西縁に接していますので、その通り回答します。(西にあるだと離れているのかくっついているのかわからないため)

問3

(1)

こちらは典型的な積乱雲の特徴ですので、問題ないかと思います。

(2)

帯状エコーと問題文にありますから、これを起点に周辺の様子を答えます。

帯状エコーの右下と左上では明確に風向が異なりますので、風向を示したうえで、回答します。

本問はちょうどエコーとシア―ラインが同じ位置にありますので、帯状エコーの位置に・・・という回答となります。

(3)

前線は相当温位線の集中帯の暖気側にありますので、345Kの点線付近が850hPaの前線です。

点Qとこの線までの間の距離が最短になる線をひき、その間の距離を求めます。

ここでは大体0.9度くらいですので、距離は約100kmです。

ここで地表の高度は記載がないので0mとすると、850hPaまでの距離は1480m(1.48km)となります。

分数の形にするには、底辺が100km、高さが1.48kmの直角三角形を考えるとわかりやすいです。

1km進むうちに何km上るのかを計算します。

100km÷1.48kmで計算できますので、答えは約68、10の倍数ですので回答は70となります。

(4)

129度線上でのエコーの移動は、エコーの南端を起点として測るとおよそ0.7度です。

1度が111kmですので77kmがこの距離となります。これを2時間で移動しますので、38km/h、指定通りの四捨五入を行い、回答は40kmとなります。

こちらは距離を測って計算するだけです。

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