テキスト、問題集ではどれくらいの時間をかけるのが望ましいのか、どれくらいの比率で勉強すればいいのか、勉強できる時間が有限である以上、これは永遠の課題です。
特に、人は忘れる生き物なので、手を広げるということは、その分論点一つ当たりの密度が小さくなります。
要は広く浅くできることをとるか、深く狭くできることをとるか、あるいはその中間か、といったトレードオフが必ずあります。(一部のなんでもできる人を除いては)
本稿では、受験の戦略があることを知っていただき、合格体験記を読む際には注意しましょうということをお伝えできればと思います。
必ず今年合格しなければならない人の戦略
必ず合格しなければならない人は、どこが出ても6割とれる実力が必要となりますので、A-Cランクすべてをまんべんなく身に着ける必要があります。
仮にAランクがでても6割、Cランクが出ても6割とれる実力が必要になります。
これは、復習の間隔はあきますので、少ない範囲に限定して勉強するよりも勉強時間の総量は増えることになります。
一方で、100%を目指すよりも、どこが出てもということが一発合格にはとても重要なファクターとなりますので、取りこぼさない学習を心掛けることが、重要となります。
少ない勉強時間で合格したい人の戦略
今年必ず合格する必要はないけれど、当か時間をできるだけ減らしたい人は、Aランクのみを行うことをお勧めします。
Aランクのみに絞ると、必然的にやるべきことが少なく、回転率が上がりますので、忘れる前に復習ができ、結果として見た目以上に勉強時間が少なくなります。
その代わり、Aランクが出た際に必ず合格する実力が必要ですので、完成度が合格ラインレベル(6割)では足りません。
8割くらいの精度でこたえられるような精度が必要となるでしょう。
しかし、このレベルの完成度にもっていくのは、全範囲を網羅しているような人と比べても、圧倒的に少なくて済みます。
それくらい勉強範囲を絞るということは重要です。
よって必ず合格したいがために手を広げる人と、効率よくやって合格しなくてもいいという感じで勉強している人とでは、勉強量の絶対的格差が広がります。
効率よく短期合格した人の事例が、必ず合格したい、あとがない人にとって参考にならないのはこのためです。
現在、ブログ等で合格者の体験記はたくさんありますが、その人がどういう戦略を使っているかは人によって多く差があるため、参考にする際には自分に似ている人を探す必要があります。
全く違う戦略の人のものは参考になりませんし、それどころかこんなに少ない時間で合格した人がいるなんて・・・と自分と比べてしまい、落ち込んでしまうかもしれません。
短期間で合格している人は、100%合格する確信をもって試験に臨んでいないと思います。
私の場合は、鑑定士は必ず合格しないとならなかったため、網羅的に学習しました。前者の方法です。それも短期間で合格する必要があったため、1日の勉強時間を増やすという方法で、勉強時間を稼ぎ、回転率を上げました。これが工夫点です。
一方、税理士試験は合格しなくてもよいと思って受けており、自分の出来る範囲が出たら合格すればいいというスタンスで、2-3年以内に2科目が合格できればいいというスタンスでした。
よってAランクの問題かつ、自分が理解するのに苦労しない論点しか勉強していません。一般水準の半分にも満たない時間で合格しようとする以上、その年に合格する確率を犠牲にしたというわけです。
但し、狭い範囲しか勉強しないこと、回転率を稼いでいることから、得た知識は忘れにくく、たとえ今年だめでも、来年以降はさらに少ない時間の勉強で挑むことができたでしょう。
網羅的な勉強をしていると、しばらく期間が開くと思いのほか忘れていて愕然とすることがありますが、そのような確率が低いのも、後者の方法の特徴です。
いかがでしょうか。自分がどのような合格までの絵を描いているか、投入できるリソースはどの程度なのかをしっかり考えて勉強することは、自分の時間も有限であることを考えると非常に重要です。
だらだら勉強するのではなく、資格というリターンを最小で得るための投下資本をどうするか、ぜひ考えてみてください。
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