こんにちは。不動産鑑定士のふくろうるです。
不動産鑑定士試験を上位で合格した私の論文3科目の勉強方法Tipsをご紹介します。
今回は会計学編です。
↓前回の経済学編(教養科目の基本方針もこちらに記載)はこちら
会計学の勉強方法は鑑定理論とよく似ています。
ですので、鑑定理論をメインで勉強している鑑定士受験生が一番とっつきやすいのがこの会計学と思います。
試験のレベル感
試験のレベル感は大学の経済・経営学部、商学部などで開講される財務諸表論・管理会計論の内容とほぼ一致しており、1-2年生で習う範囲となります。
よって、経営学部系に在学し、まじめに勉強していた人は、追加で勉強することはほぼないです。
なお、簿記検定でいうと範囲は1級と同じ範囲ですが、簿記試験が仕訳や精算表の作成など、手を動かすことがメインなのに対し、鑑定士試験会計学では、理論の理解と暗記が重要となるため、簿記が得意でも会計学の勉強をあまりしてこなかった方は、理論の勉強をする必要があります。
(どのような理屈で仕訳をするかの理屈部分なので、簿記ができる人はとっつきやすいと思います。)
学習上のポイント
章と章のつながりが薄いので、各章ごとに別個理解する方がよい
会計学テキストのもととなっている会計基準は、各会計処理ごとにばらばらに作られています。
例えば棚卸資産評価だと、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」等、個別に作られています。
一つの理論が難しく、理解ができないとしても、ほかのところはそうとは限りません。
各章で独立した気持ちで挑めます。
根幹となる考え方はすべての会計基準において共通している
企業会計原則上の7つの一般原則(重要性の原則を入れると8つ)、概念のフレームワークの考え方は根幹ですべての個別の会計基準の考え方のベースとなっています。
不動産鑑定士試験の会計学では複数の会計処理が選択できる場合の背景の考え方や、なぜその会計処理が原則とされているのか等を問う問題が出題されます。
その際には根幹となる上記基準の考え方をベースに理論展開をすることが重要です。
誤解を恐れずに言えば、その会計処理が原則とされているのは
- 投資家が企業の将来キャッシュフローを予測するのに重要
- 債権者は経営の意思決定に参加することができないため、保護する必要がある
- 分配可能利益の算定根拠となる利益は、客観的かつ確実な成果に基づき算定されなければならない
- 国際的な会計基準との整合をとるため(国際的な証券市場・投資家の意思決定に有用)
ということが理由の大半であったりします。
要は会計の目的から考えて、その方法をとるということが利害関係者の判断に役立つ。
という形で理論をまとめてゆけばよいのです。
この根幹となる考え方のパターンはそれほど多くなく、鑑定士のテキストには繰り返し記載されています。
重点的に覚えましょう。
苦手分野の対策
よって会計学としての根本を理解した後は、各論点(各章)ごとに理解をしていけばよく、逆に、理解できていない論点(章)があれば、そこが出た際にはまるっと得点できないことになります。
よって、苦手だからと言ってある章を飛ばしてしまうことは大きなリスクとなります。
受験上は理解ができない章は定義だけは丸暗記しておくなどの対策が必要になります。
学習の順序
まず会計学の根幹である原理原則、収益・費用などの考え方を概念のフレームワークや企業会計原則(特に7つの基本原則)から理解します。
ここで上記の会計処理の背景となる全体に共通した会計学の考え方を身に着けます。
そのあとは、各省ごとにひとつづつ論点をつぶしていくことになります。
会計学では特に不動産に関する論点が出やすいということはないですが、予備校の模試では不動産に関するマニアックな論点が出たりします。
そういう誰が出ても解けない論点をつぶしても効率が悪いので、テキストをベースとした勉強を心掛けましょう。
できない問題は誰もできません。
公認会計士の方や税理士の方は解けるかもしれませんが、皆さんが戦うのはその人達ではありません。
試験委員対策
最後に、会計学は研究分野・研究者ごとに考え方も専門分野の範囲も全く異なります。
研究者によって色が出やすい学問です。
(それぞれの学者さんで研究哲学的なところがあり、相容れないような考え方もあります。)
よって試験委員対策として、経済学と同じく、著書を読んでおくことが必要でしょう。
また、試験委員の先生によって、専門とする領域が異なるため、会計学では過去問にこだわりすぎる必要はないと思います。
どちらかというとテキストを繰り返し読むという勉強スタイルのほうが向いていると思います。
(この考え方で会計士試験の論文に挑むと絶対落ちると思いますが、鑑定士ではこの方が効率が良いでしょう)
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