富士急行の県有地賃借料に関する訴訟への考察④

これまでの記事の続きではありませんが、経過をひとつ

富士急行の県有地賃借料に関する訴訟への考察
富士急行の県有地賃借料に関する訴訟について、雑記です。

富士急行の訴訟の件について、20億の鑑定評価を提示した鑑定士が、富士急行から不動産の鑑定評価に関する法律に規定する懲戒請求を受けたとのニュースがありました。

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この懲戒請求制度は不動産の鑑定評価に関する法律で保証されている制度であり、誰でも不動産鑑定評価が不当だと思った時には、請求することができます。

過去にも、実際の請求された事例があり、不動産鑑定士が処分されています。

なお、私の知る処分事例は今回の富士急行の件と同じく、開発に関するものであったと記憶しています。

(宅地見込地で開発の実現性・合法性等に懸念があるにもかかわらず、開発後のはなはだ高い価格を前提として評価を行っていたもの)

やはり、開発法のように想定要素が多い評価方法の適用に当たっては、実現性・合法性の観点からいくつもの可能性を考えて本当にその開発ができるのかを検証しなくてはなりません。

一方、この事例における教訓は、開発法のような想定要素が多い評価は気をつけましょう。ということではないと思います。

ここから学ぶべきは、依頼者のみならず、すべての鑑定評価書の利用者に対して、まっとうに説明できる根拠を持った鑑定評価を行うこと。と思います。

不動産鑑定評価は専門家の意見であり判断ですので、内容が食い違うことはあってしょうがないと思います。

しかし、その価格に至った背景は自分でしっかりと把握し、利用者全員に理解されるよう説明できなければならないと思います。

私が以前利用した鑑定士に、評価内容について質問したことがありました。

質問としては、「取引事例比較法の適用において、不整形▲25%という補修正がなされている。これはどのように計算してこの数値になったのですか?」

というものです。

先方の回答は「不動産鑑定評価においては、このような土地の場合、これくらいのマイナスをするのが通常であり、算定式などはない。」

といわれました。

皆さんはこの回答で納得できますか?

業界の常識は一般の非常識です。「専門家がいうのだから文句を言うな」という態度で、果たして信頼されると思っているのでしょうか。

我々専門家は、利害関係者からの疑問に対して、しっかりと根拠を説明しなければ信頼を得ることは不可能です。

また、一人の専門家のこのような態度が業界の信頼低下につながるのです。

今一度下記基準を再読し、私も身を引き締めて職務に当たりたいと思います。

不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を担当する者として、十分に能力のある専門家としての地位を不動産の鑑定評価に関する法律によって認められ、付与されるものである。したがって、不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価の社会的公共的意義を理解し、その責務を自覚し、的確かつ誠実な鑑定評価活動の実践をもって、社会一般の信頼と期待に報いなければならない。そのためには、まず、不動産鑑定士は、同法に規定されているとおり、良心に従い、誠実に不動産の鑑定評価を行い、専門職業家としての社会的信用を傷つけるような行為をしてはならない(後略)。

不動産鑑定評価基準

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