フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章④(地域分析③)

不動産鑑定

やわらかい言葉で不動産鑑定評価基準及び留意事項の6章がつまり何を言っているのかをざっくばらんに、実務的な観点を踏まえながら解説・コメントしています。

(引用符で引かれた項目はすべて国土交通省の不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項からの引用となっています。)

第一回はこちら(補足説明等込み)

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章①
鑑定評価理論を学ぶ上でイメージがつかみにくく、最後まで暗記・理解が難航するのは第6章ではないでしょうか。 この連載では、やわらかい言葉で不動産鑑定評価基準及び留意事項の6章がつまり何を言っているのかをざっくばらんに、実務的な観点を踏まえながら解説・コメントするものです。(全文解説します。)

前回はこちら

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章③(地域分析②)
地域分析に当たって特に重要な地域は、用途的観点から区分される地域(以下「用途的地域」という。)、すなわち近隣地域及びその類似地域と

(1)用途的地域

①近隣地域

近隣地域とは、対象不動産の属する用途的地域であって、より大きな規模と内容とを持つ地域である都市あるいは農村等の内部にあって、居住、商業活動、工業生産活動等人の生活と活動とに関して、ある特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを示している地域をいい、対象不動産の価格の形成に関して直接に影響を与えるような特性を持つものである。近隣地域は、その地域の特性を形成する地域要因の推移、動向の如何によって、変化していくものである。

ここでは近隣地域の定義を示しています。

近隣地域とは、要は市町村などの自治体、あるいは集落のようにまとまりをもった塊の中で、その中でも特に使われている用途が似ている不動産が集まっている部分を一つの地域としてみるものです。

つまり、地域を見たときに、この一帯はほとんど同じ用途で使われている。

とみることができる範囲を近隣地域としてとらえるとよいでしょう。

なお、実務上は、道路幅員や最寄り駅までの距離が変わることにより、取引事例比較法の地域要因の比較・個別的要因の比較で格差率を調整する必要があるため、それを避けるために非常に狭い範囲(対象不動産を中心に北へ〇m、南へ〇mの、前面市道〇線に面した範囲など)で決定されることが多いと思います。

一方、この定義の趣旨から鑑みると、例えば住宅地であればそのエリアの〇丁目全体であったり、工業地でいえば工業団地全体が本来は近隣地域とする範囲なのではないかと思います。

また、この近隣地域自体も時の経過により地域の特性は変わっていくため、その範囲も変わっていくことが示されています。

鑑定評価においては、この近隣地域の中では不動産がどのような利用形態で利用されることが標準的な使用方法であるか(標準的使用)を判断することが需要なポイントとなります。

地域分析の内容を鑑定評価書に記載するにあたっては、地域の標準的な画地についての情報を記載します。

その後の個別分析において、この地域分析で設定した地域の標準的な画地との差を分析することで、その地域の中での対象不動産の特徴を記述するというステップを踏みます。

これが、取引事例比較法における、標準化補正(事例地を事例地域の標準的な画地に合わせるための補正。)

⇒地域要因同士の比較(事例地と対象不動産の存する近隣地域の地域同士の格差を比較)

⇒個別的要因の比較(近隣地域の標準的な画地と対象不動産の格差を比較)
という手順につながっていく考え方の基礎となります。

次回

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章⑤(地域分析④)
①近隣地域の地域分析は、まず対象不動産の存する近隣地域を明確化し、次いでその近隣地域がどのような特性を有するかを把握することである。

コメント

タイトルとURLをコピーしました