土地建物一体とした付帯費用の具体的計算方法

不動産鑑定
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こんにちは、不動産鑑定士のKanvasです。

今日は原価法で用いられる付帯費用についてです。

こちらの項目はH26年の不動産鑑定評価基準改定において明確化され、以後の鑑定評価書では、明記されるようになりました。

鑑定業者により、様々な記載方法がされており、土地の付帯費用、建物の付帯費用、土地建物一体とした付帯費用をそれぞれ分けて計算して積み上げる事例もあれば、丸っと一体として〇%と査定している事例もあり、取り扱いは様々です。

よく目にする数値は自用の建物で10-15%程度、貸家で15%-25%、区分所有の分譲マンションで30%前後の水準かと思いますが、どうしてこの水準としたのか、発注先の鑑定業者に問い合わせても、「デベロッパーへのヒアリングからそのように査定した」という返答しか返ってこず、積み上げ計算の中身は教えていただいたことがありません。

ここでは、各付帯費用の構成部分が、具体的にはどのように計算されるのかを考察します。

項目は不動産鑑定評価基準にある以下のものとします。

土地の付帯費用

土地の付帯費用は建物及びその敷地の構成部分としての土地価格を求める際に求めた更地価格に加算して求めるものと考えられます。更地の場合には、土地の開発にかかる負担金などは今後の造成時にかかるものであるためです。

a.公益施設負担金

公共施設負担金は、土地の開発を行う際に、自治体にして負担する金銭となります。具体的な金額については、各自治体の開発指導要綱にある「公共公益施設負担金」の金額が参考となります。

また、水道などのインフラが引かれていない土地については、近隣の水道管から水道管を引き込むための負担金の金額も併せて計上するものと思われます。

b.開発申請諸経費等

開発申請諸経費は、開発申請時に自治体に支払う手数料で、各自治体により金額は異なります。

札幌市の場合は申請面積や自己居住用・業務用・非自己用の別に区分され、0.1ヘクタール未満の非自己用では102,600円となっています。

(2)建物の付帯費用

c.設計監理料

工事が図面通りに進んでいるかなど、設計者の考えた通りに工事現場が動いているかを監理するためにかかる費用となります。

設計管理料は、建物建築費の約3-5%が採用されることが多いと思いますが、建築の規模や請け負う建築士により、実際の費用感は様々です。

d.建築確認申請費用

建築確認申請や検査申請、中間・完了検査の手数料です。自治体及び建築物の規模により大きく異なりますが、北海道で2,000平方メートルの物件を建築する場合

  • 建築物確認申請等手数料 100,000円
  • 建築設備確認申請等手数料 18,000円
  • 工作物確認申請等手数料 17,000円
  • 建築物完了検査手数料 67,000円
  • 建築設備完了検査手数料 18,000円
  • 工作物完了検査手数料 14,000円

の234,000円が必要となります。

その他、容積特例や敷地面積許可など建築基準法上の許可を受けるための手数料もそれぞれ数万円から数十万円が別途必要になります。

e.登記費用等

所有権保存登記の登録免許税として、物件価格の0.4%がかかります。また、不動産取得税として土地と家屋(住宅)は3%、家屋(非住宅)は4%が必要となります。

これらを司法書士に依頼する場合は手数料も別途必要となります。

(3)その他土地建物の付帯費用(一体とした付帯費用)

f.建物引渡しまでの資金調達費用(借入金利及び自己資本に対する配当率)

建物引き渡しまでの資金調達費用として、借入金利及び自己資本に対する配当率分のコストを計上します。これらは実際の支出になる部分とそうでない部分があり、計算においては、WACCの計算方法に準じて計算することが考えられます。

例えば借入7割、自己資金3割、配当率をそれぞれ1.5%、8%とした場合、コストは3.5%となります。

g.発注者の開発リスク相当額

h.発注者利益(開発者利益・機会費用)

これらは開発法における投下資本収益率と関連するものと思われます。開発法において採用される投下資本収益率は、借入金利率、開発利潤率、危険負担率から構成されています。このうち借入金利率についてはf.で考慮しています。

開発利潤率は大手不動産業者の販売純利益率を考えると土地建物の総額の5-10%程度、危険負担率は、工事が延滞するなどのリスクを踏まえた値となりますが、このコストは工期が延長することによる収益発生の遅れ分およびfで検討したコストが余分に発生することによる超過コスト相当分になるものと想定されます。

i.分譲住宅・マンション等の販売費、広告宣伝費

こちらも開発法で想定されるものと近いと思われる。区分所有の分譲マンションについては、モデルルームのコストや、そこに販売員を置くか否かによってなど、建物の規模により料率は異なるものの、販売総額の10%程度が通常想定されるものと考えられます。

j.土地の公租公課、地代(開発期間中の固定資産税・都市計画税(借地の場合は地代)相当額)

建物建設中の保有期間における公租公課や地代が想定される。分譲マンションの場合は、分譲販売中の公租公課等も含まれます。

k.貸家及びその敷地の評価において賃貸中の不動産としての再調達原価を求める場合のテナント募集費用

貸家の場合においては、テナント募集費用として、新規賃料総額の1か月分程度の仲介手数料相当額をテナント募集費用として見込む必要があります。

具体的な算出方法

以上を前提として、すでに水道等が整備された500㎡の土地に2,000㎡の事務所ビル(開発期間12か月)を建築した場合の土地建物一体とした付帯費用は以下のようになると想定されます。

【前提】

土地価格 100,000,000円 (課税標準額70,000,000円)

土地付帯費用102,600円(土地価格の0.1%)

建物価格 600,000,000円 (課税標準額300,000,000円)

建物付帯費用 30,000,000円(建物価格の5%)

土地建物一体とした価格(付帯費用加算前)730,102,600円

d. 234,000円

e.土地登録免許税 70,000,000円×0.4% =280,000円

 建物登録免許税 300,000,000円×0.4% =1,200,000円

 土地不動産取得税 70,000,000円×3% = 2,100,000円

 建物不動産取得税 300,000,000円×4% =12,000,000円

 司法書士依頼費用 200,000

合計15,528,000円

f.(100,000,000+600,000,000)×3.5%×12か月÷12か月=24,500,000円

g.h.借入金利率はfで考慮済み、危険負担率を込めた販売純利益率を10%と想定し、

(100,000,000+600,000,000)×7%=49,000,000円

i.事務所ビルのため計上しない

j.土地公租公課 70,000,000円×1.7%=1,190,000円

 建物公租公課 300,000,000×1.7%=5,100,000円

合計6,290,000円

k.自用を想定しているため計上しない

上記d-kの合計95,552,000円(土地建物一体とした価格の約13%)

となります。

自用の建物及びその敷地でよく目にする料率に収まっていますが、このような説明ができることにより、鑑定評価のファジーな部分が一つ解消できると思います。

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