不動産鑑定士試験の独学をしようと思った時、一番身につけにくいのが論文式試験の解答方法(論文の書き方)ではないでしょうか。
短答形式と異なり論点式試験にはお作法があります。
一方、そのお作法は試験問題集や教科書ではあまり解説されていません。
ここでは、最低限の論文の書き方のマナーを解説します。
一方法として参考になりましたら幸いです。
解答用紙に記載する順番は以下の通りです。これを上から下に行います。
理論の前提となる説明
1.では、問題文で問われている内容に対しての理解を示す必要があります。
このようなことが聞かれている。鑑定評価とはこういうものなので、これはこのように考える。という大枠の流れを記載することになります。
この部分は基準のベタ張りでOKの場合もありますし、留意事項も加味した作文をすることもあります。
いずれにしてもよりどころはテキストにある内容を写すことがメインとなるでしょう。
問題文で問われている内容の意義や定義
2.では、問題文で問われていることの定義やそれが鑑定評価上どのような意義を持つのかを記載します。
問題文で示される事項の定義は鑑定評価基準からの引用が基本となります。
これに加えて鑑定評価上の意義では、○○をすることは鑑定評価を行う上でどんな意味があるのかということを示すこととなります。
例えば地域を細分化することにはどういう意味があるのかということが問われていれば、地域を細分化することによって得られるメリットや、地域を細分化しなければ鑑定評価上こういう悪影響があるなど、問われていることについての鑑定評価上の意義を論じます。
鑑定評価における反映のしかた
3.では2.で示した意義は実際の鑑定評価上ではどのようなところに反映されるのかを示します。ここでは基準の総合的勘案事項の内容や、留意事項などを記載することがメインとなります。
2.では検討の大枠を、3.ではより具体的な手続きや評価への反映方法等を記載するイメージです。
明確に分かれていなくてもいいと思いますが、大枠⇒各論のような構造化を意識することが大切となります。
鑑定評価書への記載方法
4.は追加の加点要素の意味合いが試験上では強いですが、上記の検討内容は鑑定評価上どこに記載されるか、9章の必須記載事項と絡めて記述します。
その記述理由なども書いておくとさらに加点要素となると思います。
結局は最終的に不動産鑑定評価の成果物は鑑定評価書なので、会計学では財務諸表への影響を記載するのと同様、鑑定評価書への影響を記載するということです。
まとめと補足
鑑定理論では、問題文で聞かれたことに対して、どういう前提で鑑定理論は成り立っており、なんでそんな検討が必要なのか(1.)、問題文で聞かれているものはそもそもどういう定義のもので、基準ではどのような記載があるか(2.)を示したうえで、
それが鑑定評価の実務ではどのように反映されるのか(3.)、その結果は評価書でどのように記載しなければいけないのか(4.)という流れを示すことが重要です。
これは鑑定実務での分析から成果物報告の流れを意識するとわかりやすいと思います。
業界未経験の方は、鑑定理論8章の流れをイメージしていただくのがよいと思います。
民法・会計学・経済学はこちら
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