フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章①

不動産鑑定

鑑定評価理論を学ぶ上でイメージがつかみにくく、最後まで暗記・理解が難航するのは第6章ではないでしょうか。

この連載では、やわらかい言葉で不動産鑑定評価基準及び留意事項の6章がつまり何を言っているのかをざっくばらんに、実務的な観点を踏まえながら解説・コメントするものです。(全文解説します。)

(引用は都度記載しませんが、引用符で引かれた項目はすべて国土交通省の不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項からの引用となっています。)

第6章地域分析及び個別分析

対象不動産の地域分析及び個別分析を行うに当たっては、まず、それらの基礎となる一般的要因がどのような具体的な影響力を持っているかを的確に把握しておくことが必要である。

不動産鑑定評価においては、対象不動産に対して価格形成要因がどのように作用するかを分析し、最有効使用を判断することが重要となります。

第6章では地域分析と個別分析が示されていますが、これらは対象不動産に係る価格形成要因(地域要因・個別的要因)を把握するために行うものです。

ここで把握したい地域要因・個別的要因は、その基礎(前提)となる一般的要因の影響下にあるため、まずは一般的要因がどのような影響を持っているかを把握することが大切になります。

一般的要因は、一般経済社会における不動産のあり方及びその価格の水準に影響を与える要因であり、不動産市場全体の価格に影響を与える要因です。

但し、この一般的要因が対象不動産に与える影響の仕方、影響の度合いは、地域によって、あるいは個別の不動産によって、偏りがあります。

例えば、一般的要因の一つである「上場株式の価格推移」(日経平均株価など)は都心のマンション価格に対して強い相関があり、株価が上昇すると都心マンション価格も上昇します。

一方で株価が上昇しても、地方温泉地のリゾートマンションの価格はそれほど上昇しません。

この一般的要因が地域要因、個別的要因にどのような影響を与えるかを考えてみましょう。

地域要因は、一般的要因の相関結合(組み合わせや地域への影響の偏り等)によって、対象不動産の存する地域全体に対して価格形成に与える影響要因です。

上記の例では、株価上昇時に資金が流れ込みやすい「都心」の不動産という属性と、それに影響されにくい「地方」の不動産という属性では、一般的要因(株価の上昇、株価の上昇による余剰資金の投資先の振り分け方等)が影響を与える度合いが異なります。

個別的要因は、不動産に個別性(アセットタイプや道路付けなど、不動産が2つとして同じものはないという特性)を生じさせ、その価格を個別的に形成する要因です。

上記の例では、同じマンションでも、流動性の高いマンションと、流動性の低いリゾートマンションでは、投資のリスクが異なることから、一般的要因(株価の上昇、株価の上昇による代替投資先に対するリスクの影響度合い等)が影響を与える度合いが異なります。

このように、一般的要因が対象不動産の価格形成に与える影響は、対象不動産の属する地域や、対象不動産そのものの特性や属性によって、異なります。

第6章では、一般的要因が対象不動産の価格形成に与える影響を分析し、価格形成要因を的確に把握することを、地域分析及び個別分析として示しています。

次回

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章②(地域分析①)
地域分析とは、その対象不動産がどのような地域に存するか、その地域はどのような特性を有するか・・・

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