鑑定評価基準のやる気の出るフレーズ集

不動産鑑定
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第1章は試験で記述するのはほんの一部ですが、不動産鑑定士としての仕事を行う上で常に心に留めておくべき宝の山です。

試験中はそのモチベーションを支えるとともに、実務についてからは忘れがちな初心を振り返らせてくれる心のよりどころです。

常にこの基準を意識することが、不当鑑定を避ける一番の特効薬だと思います。

1章第2節(3)

不動産の属する地域は固定的なものではなくて、常に拡大縮小、集中拡散、発展衰退等の変化の過程にあるものであるから、不動産の利用形態が最適なものであるかどうか、仮に現在最適なものであっても、時の経過に伴ってこれを持続できるかどうか、これらは常に検討されなければならない。したがって、不動産の価格(又は賃料)は、通常、過去と将来とにわたる長期的な考慮の下に形成される。今日の価格(又は賃料)は、昨日の展開であり、明日を反映するものであって常に変化の過程にあるものである。

不動産鑑定評価基準の中でも個人的に最もかっこいいフレーズと思っています。

不動産の価格や利用の方法、不動産が属する地域等は刻一刻と変わるものです。

たとえ昨年度の評価の時点修正案件であっても、これを念頭に置き、地域や不動産の変化の過程を観察することは忘れずに。

そして不動産の経済価値は現在だけを見て決まっていないということです。今現在の経済価値は、これまでの積み重ねであり、今後の未来の在り方によって決まります。

これは不動産のみならず、自分の人生もそうではないでしょうか。これまでの積み重ねが今の自分を作る一方、これから目指す道がいまの自分を形作っています。

目指す未来がかわれば、現在の自分の行動が変わり、それが自分の価値を変えることにもなります。

私が受験生のころはこの文言に励まされて勉強を続けられました。

1章第2節(4)

不動産の現実の取引価格等は、取引等の必要に応じて個別的に形成されるのが通常であり、しかもそれは個別的な事情に左右されがちのものであって、このような取引価格等から不動産の適正な価格を見出すことは一般の人には非常に困難である。したがって、不動産の適正な価格については専門家としての不動産鑑定士の鑑定評価活動が必要となるものである。

不動産鑑定士が不動産の経済価値を決めることを法律で許されているのは、一般の人にはそれが困難であり、かつ不動産の価格が社会に与えるインパクトが大きいからです。

これを認識して鑑定評価の活動を行っていれば、依頼者プレッシャーに負けることなく、専門的職業家としての判断であり意見として胸を張って評価を行えます。

我々が行うのは、対象不動産の価格が経済的位置に占める適切な場所を指し示すことであり、依頼者や自己の都合のために価格を作ることではありません。

第3節

この判断の当否は、これら各段階のそれぞれについての不動産鑑定士の能力の如何及びその能力の行使の誠実さの如何に係るものであり、また、必要な関連諸資料の収集整理の適否及びこれらの諸資料の分析解釈の練達の程度に依存するものである。したがって、鑑定評価は、高度な知識と豊富な経験及び的確な判断力を持ち、さらに、これらが有機的かつ総合的に発揮できる練達堪能な専門家によってなされるとき、初めて合理的であって、客観的に論証できるものとなるのである。

不動産の鑑定評価は多分に専門的であり、求められる能力も日々高まっています。

そして能力を持っていてもそれを誠実に行使せず、依頼者や自己の利益を考えた評価を行ってしまえば、合理的な評価額に至ることはできません。

高い能力をもち、正しく行使する。その二点がそろわないならば、鑑定評価を行うべきではありません。

私は実務上で使われる価格目線という言葉が嫌いでした。鑑定士は依頼者が指定した価格を合理的な根拠をもって出してあげるような仕事ではありません。

第4節

不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価を担当する者として、十分に能力のある専門家としての地位を不動産の鑑定評価に関する法律によって認められ、付与されるものである。したがって、不動産鑑定士は、不動産の鑑定評価の社会的公共的意義を理解し、その責務を自覚し、的確かつ誠実な鑑定評価活動の実践をもって、社会一般の信頼と期待に報いなければならない

(5)自己の能力の限度を超えていると思われる不動産の鑑定評価を引き受け、又は縁故若しくは特別の利害関係を有する場合等、公平な鑑定評価を害する恐れのあるときは、原則として不動産の鑑定評価を引き受けてはならないこと。

5つの項目の中で、特に意識したいのがこの部分です。

もちろん、仕事をしている以上、これまでにやったことのない案件はたくさん舞い込んでくるでしょう。

それに対してできなさそうならすべて断れと言っているわけではありません。

しかし、自分ができるところとできないところをしっかり分け、自分の能力の限界を超えないように努めなければなりません。

実務上目にする鑑定評価書は、時に能力の限界を超えてなされているものがよくあります。

これは、自分のリスクを高めるのみならず、鑑定士の社会的信用をも失墜させるものです。

現在、マスコミは報道を切り取って視聴者にウケるような形で報道するため、鑑定評価の結果も思ってもみない形で引用されたり、前提条件を全く無視した報道がされたりします。

そのような切り抜きに耐えるような評価書を作れというわけではありませんが、自己の能力の範囲内で、誠実に鑑定評価を行うよう、依頼者とのすり合わせや条件設定をしっかり行うべきです。

自己の能力の限度を超えていると思えば、謝絶することももちろん候補ですが、見たこともない類型の場合には、「このような前提を置いて、この部分に価値があるとしたら、こういう価格が出せます。」等、自らの専門性を発揮したうえで、依頼者と成果物の内容をしっかり検討し、依頼者と合意することが重要です。その際には、鑑定評価基準を満たさない価格調査等業務となるかもしれません。

依頼者は鑑定評価基準を熟知しているわけではありません。税務署や会計士に言われたからただ依頼していることも多々あります。鑑定士としては不動産鑑定評価の専門家として、どのような用途に評価書が使われるのか、そのためにはどのような評価を行うのかをしっかり説明し、理解してもらう必要があります。

(2)依頼者に対して鑑定評価の結果を分かり易く誠実に説明を行い得るようにするとともに、社会一般に対して、実践活動をもって、不動産の鑑定評価及びその制度に関する理解を深めることにより、不動産の鑑定評価に対する信頼を高めるよう努めること。

ここでいう結果は、業務完了時の報告のみを表すものではないでしょう。

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