フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章⑦(地域分析⑥)

不動産鑑定

やわらかい言葉で不動産鑑定評価基準及び留意事項の6章がつまり何を言っているのかをざっくばらんに、実務的な観点を踏まえながら解説・コメントしています。

(引用符で引かれた項目はすべて国土交通省の不動産鑑定評価基準及び不動産鑑定評価基準運用上の留意事項からの引用となっています。)

第一回はこちら(補足説明等込み)

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章①
鑑定評価理論を学ぶ上でイメージがつかみにくく、最後まで暗記・理解が難航するのは第6章ではないでしょうか。 この連載では、やわらかい言葉で不動産鑑定評価基準及び留意事項の6章がつまり何を言っているのかをざっくばらんに、実務的な観点を踏まえながら解説・コメントするものです。(全文解説します。)

前回はこちら

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章⑥(地域分析⑤)
③近隣地域の地域分析においては、対象不動産の存する近隣地域に係る要因資料についての分析を行うこととなるが、この分析の前提として、対象不動産に係る市場の特性や近隣地域を含むより広域的な地域に係る地域要因を把握し、分析しなければならない。

(2)近隣地域の範囲の判定について近隣地域の範囲の判定に当たっては、基本的な土地利用形態や土地利用上の利便性等に影響を及ぼす次に掲げるような事項に留意することが必要である。

近隣地域の範囲がどこまでとなるか、具体的な判断基準としての指標が列挙されています。

基本的には、土地の利用の在り方や規制が変わる部分、地域を分断するものの両側というのが一つの目安となるでしょう。

①自然的状態に係るもの

ア河川川幅が広い河川等は、土地、建物等の連たん性及び地域の一体性を分断する場合があること。

イ山岳及び丘陵山岳及び丘陵は、河川と同様、土地、建物等の連たん性及び地域の一体性を分断するほか、日照、通風、乾湿等に影響を及ぼす場合があること。

ウ地勢、地質、地盤等地勢、地質、地盤等は、日照、通風、乾湿等に影響を及ぼすとともに、居住、商業活動等の土地利用形態に影響を及ぼすこと。

川・山・地勢(丘など)などの地域そのものが自然的な地物により分断されている場合、そこは近隣地域の境目となるポイントとなります。

また、そのような地物がなくても、地盤や日照条件が変わり、居住の快適性や商業的な人流が変わるような部分があれば、そこも近隣地域の境目となるでしょう。

②人文的状態に係るもの

ア行政区域行政区域の違いによる道路、水道その他の公共施設及び学校その他の公益的施設の整備水準並びに公租公課等の負担の差異が土地利用上の利便性等に影響を及ぼすこと。

イ公法上の規制等都市計画法等による土地利用の規制内容が土地利用形態に影響を及ぼすこと。

ウ鉄道、公園等鉄道、公園等は、土地、建物等の連たん性及び地域の一体性を分断する場合があること。エ道路広幅員の道路等は、土地、建物等の連たん性及び地域の一体性を分断する場合があること。

行政区画の違いにより建築規制等が異なったり、道路により地域が分断されていた李、水道などのインフラの在り方が異なるなど、自然物による分断ではないものの、人間が何かを地域に付加した結果、ある地域とその隣接地域で土地利用の利便性や利用形態が異なることがあります。

それらは目には見えないかもしれませんが、役所調査等で判明するものでもあり、これらの要因の違いは近隣地域の境目となります。

鉄道・公園等については、上記の河川等と同じで地域を分断する地物となりますので、近隣地域の境目となりえます。

線路の西と東では全く栄え方が違うという地域を見ることもあると思いますが、それがこの鉄道による近隣地域の境目のわかりやすい事例となります。

次回

フランクに理解する不動産鑑定評価基準第6章⑧(地域分析⑦_類似地域)
類似地域とは、近隣地域の地域の特性と類似する特性を有する地域であり、その地域に属する不動産は、特定の用途に供されることを中心として地域的にまとまりを持つものである。

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