【不動産売買】現状有姿の取引で注意する3つのポイント

不動産実務

不動産は同じものが二つとないことが他の財産とは異なる特徴となっています。

よって、中古住宅を取引する際には、現状のあるがままの状態を優先して取引が行われることになります。

そこで、不動産業の慣習として、中古住宅の取引では「現状有姿※」の取引が行われます。

※現状あるがままの不動産の状態を所与として取引を行うこと

契約書にも、「図面と現況が異なる場合には現況を優先する」のような記載があると思います。

しかし、いくら現状有姿でも事前に確認しておくべきポイントがあります。

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登記簿上の内容と現況は異ならないか

様々な理由がありますが、登記簿上の内容と現況が異なることがあります。

例えば

  • 建物の増改築が登記簿に反映されていなかったり、
  • 土地の面積が実態と異なったり

することがあります。

特に土地は、もともと大きな土地を分筆した場合、通常は測量を行って面積を算定しますが、残地は引き算で面積を算定しますので、現状面積と異なることがあります。

(もともとの登記簿上の面積は太閤検地時代のものが残っていることもあり、正確とは言えないものもあります。分筆の際は、全体の土地面積(c)から、分筆後の土地の片方の面積(a)を測量し、もう片方の面積(b)は引き算(b=c-a)で出すことがありますので、もともとも面積が異なっていれば、面積が異なることもあります。)

根拠となっている取引面積や建物の状態が資料と現況で異ならないか、しっかり確認しましょう。

過去の事故・事件の履歴

心理的瑕疵(事故物件)などは、直前にあれば告知義務がありますが、所有者が2代・3代と変わると義務はなくなります。

そのためしっかりと聞いておくことが必要です。

そのほか、ご近所トラブル等のこれから住むうえで知っておきたい情報も、売主や不動産会社に告知義務はありませんので、自ら聞くことが重要です。

自ら住むにしても、投資物件として運用する場合でも、住環境が快適性やその後の入居期間の長さを決める重要な要因であることは間違いありません。

契約不適合責任(契約書の記載)

契約不適合責任とは契約において売主や請負人が相手側に引き渡した目的物が、その種類・品質・数量にかかわらず「契約内容に適合していない」と判断された場合(債務不履行)、売主や請負人が相手側に対して負う責任のことを指します。

(請負人の担保責任の制限)

第六百三十六条

請負人が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない仕事の目的物を注文者に引き渡したとき(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時に仕事の目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しないとき)は、注文者は、注文者の供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りでない。

(目的物の種類又は品質に関する担保責任の期間の制限)

第六百三十七条

前条本文に規定する場合において、注文者がその不適合を知った時から一年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。

前項の規定は、仕事の目的物を注文者に引き渡した時(その引渡しを要しない場合にあっては、仕事が終了した時)において、請負人が同項の不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、適用しない。

民法

民法の規定では「発見から1年以内」であれば、損害賠償請求、契約解除、修理の請求、代替物の請求、代金減額が請求できます。

(改正前民法の瑕疵担保責任の規定よりも請求できる責任範囲が広くなっています。また、「隠れたる瑕疵」である必要もなくなっており、売買時に目的物である不動産を把握しておくことが売主には求められます。)

従来の瑕疵担保責任とは異なり、契約書に目的物の現状が記載されているかどうかが争点となるため、契約書をしっかり読み込むことが当然ながら必要となります。

契約書に記載された内容と比べて不備があった場合、その責任を売主に請求することができます。

民法改正により、この契約書に記載されているかどうか(契約内容に適合している目的物か)という概念が重要になっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

当然ながら物件そのものや周囲の環境、法務局の資料、そして契約書をしっかり見て不明点は確認する。ということが重要です。

不動産取引の際は不動産会社に遠慮することはありません。疑問に思ったらきちんと聞き、書類は細かい字でもきちんと目を通しましょう。

決して、せかされたからと言ってその場で契約したり、今契約しないと売れてしまうなどの言葉に踊らされる必要はありません。

きちんと皆さんに向き合ってくれる不動産会社の下で、安心して取引を行ってください。大きな買い物ですので、入念に入念を重ねるくらいでちょうどいいものです。

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