不動産鑑定士試験の独学をしようと思った時、一番身に着けにくいのが論文式試験の解答方法(論文の書き方)ではないでしょうか。
短答形式と異なり論点式試験にはお作法があります。
一方、そのお作法は試験問題集や教科書で解説されているところをあまり見ません。
本稿では最低限の論文の書き方のマナーを解説します。
一方法として部分的にでも参考になりましたら幸いです。
解答用紙に記載する順番は以下の通りです。
この論文で使う用語の定義を明確に示す
こちらは前回、前々回の内容と同じです。
まず、この論文で使う用語や、法律の概念を定義します。
この論文で使われる用語はこういうものですと事前に明示し、議論の土台を作る部分となります。
特に問題が難しいときには、この部分の配点が相対的に大きくなるため、軽視してはいけません。
問われている問題の単純化
問題文を読み、どのモデル化を使うかを選択(IS-LMモデル、マンデル・フレミングモデル等)し、そのモデルで使うべき変数(利子率、消費性向、所得等)を洗い出します。
この段落では、モデル、変数を明確化するとともに、そのモデルの説明、そのモデルで表せる事象、なぜそのモデルで分析することが有用なのか等、問題構造の単純化(モデル化)とそれにより問題文の設問時効の答えを示すことができる旨を明示します。
構成要素のモデル化・グラフ化
2.で整理した内容をグラフ化します。
4.にてグラフ上の動きの考察を行いますので、複数のグラフを書く場合には、縦に並べるのか・横に並べるのかなど、解答用紙に価格前に簡単に下書きをしておくのがよいと思います。
なお、記号の定義・説明などの抜け漏れに注意しましょう。
分析結果のまとめと結論
グラフ化の後、問題文で問われている問題のシミュレーションをグラフ上で行います。
具体的には、ある変数を動かすとほかの変数はどのように動くかを示します。
この時、グラフ上の動きと、グラフのシフトは明確に区別して示すことが大切となります。
複数のグラフを示すときは、その動く順番(グラフ1の〇〇曲線のシフト⇒グラフ2の○○曲線のシフト⇒・・・)という形で経済効果が波及する順番をきちんと示しましょう。
※特にグラフの上の動きなのか、グラフのシフトなのかの違いは重要ですので、この理論が不明確であればテキストのインプット時間を増やすことをお勧めします。
今回の問題文事例へのあてはめと妥当性の確認
4.で整理した内容を、問題文の事例に当てはめ、モデルの世界から現実世界に戻してあげます。
モデルではこう動いたので、現実世界(問題文のテーマ)ではこういう風に動くはずという形で、モデルを現実世界へあてはめて日本語で記載します。
まとめと補足
経済学では、2.3.において問われている事象を、鑑定士試験の予備校で習うレベルの簡単なモデルに落とし込み、そのモデルでの動きを分析(4.)し、分析結果を5.で問題文に当てはめることが大きな流れです。
特に重要なのは3.4.のモデル化とその分析結果の部分となります。
ここでは複数のグラフを書き、グラフを並べたうえでグラフAの動きの結果がグラフBにも波及して結論が導き出されたり、さらにBの動きがAにも波及してフィードバック効果があったりと様々なパターンが考えられます。
このグラフの動きはテキストで身に着け、覚えることがもちろん重要ですが、経済学は現実の事象の単純化をする学問ですので、全くわからない論点でもあきらめないでください。
問題で示されているパラメータを列挙し、どれが+に動いたらどれが+に動くかなどの関係性を考えてみましょう。
まったく知識がなくても、常識を使ってグラフを書くことができる場合もあります。
経済学は得点差がつきやすい科目です。
グラフによる分析がなければ大きな得点がほとんど来ないこともあります。
上記の観点を生かして、なにがあっても最後まで食いついてみてください。予備校の模試では模範解答以外点数はもらえないかもしれませんが、本番は研究者が採点しますので、理論があっていれば得点になるかもしれません。
民法・会計学・鑑定理論はこちら
その他の経済学関連記事はこちら
コメント