商業施設評価ではどんな手法が使われていればいいの?物件特性と適用手法

不動産鑑定

こんにちは、不動産鑑定士のKanvasです。

今日は商業施設評価の際に使うべき手法と留意点を発信します。

商業施設とは、店舗系の不動産を指します。

商業施設の評価では、収益還元法による収益価格を重視して不動産の価格を決定します。

これは当該不動産を購入する典型的な需要者が対象不動産の収益性に着目して取引の意思決定を行うためです。

ただし、収益還元法の適用に当たり、対象不動産の規模や自用・貸家の違いによって、総収益の査定方法が異なるため、その留意点を以下で述べます。

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小規模店舗、小規模店舗ビルの場合(自用)

小規模店舗などの、周辺に賃貸事例も見受けられるような物件の場合は、周辺の店舗事例をもとにした賃貸事例比較法を適用して総収益を査定します。

この時、部分貸しの事例と一棟貸しの事例はしっかり区別して把握します。

店舗の床の一部を賃貸する部分貸しの評価において、一棟貸しの事例を使うと、収益が安く出てしまいます。周辺に適切な事例がなく、部分貸しの評価に一棟貸しの事例を使わざるを得ない場合などは、レンタブル比を考慮した補修正を行い、単価を修正します。

小規模店舗、小規模店舗ビルの場合(貸家)

貸家の場合は、原則現在の賃料水準をもって総収益としますが、周辺の賃料相場を確認し、著しく相場との乖離がある場合には、標準化総収益として、長期安定的な収益に置き換えての査定や、今後賃料が増減額するリスクを利回りに織り込んで査定します。

大型店舗の場合(自用部分)

大型店舗の自用部分については、事故の事業により生み出すことが可能な収益を総収益として計上します。

具体的には、売上高から売上原価や、一般管理費等(不動産に関するもの以外)を控除したGOP※(不動産関連費用控除前営業利益)をベースとして査定します。

当該GDPから、経営に帰属する純収益や経営の変動リスク分等を控除して、総収益(賃料負担相当額)とします。(事例ではGDPの6-8割程度を総収益とする事例が多いかと思います。)

よく、売上高に賃料負担率を乗じて簡易的に賃料負担相当額を算出している事例を見受けますが、オープン直後で記録がない場合などを除き、原則として上記のように企業収益をもとに査定するべきかと考えます。

大型店舗の場合(貸家部分)

大型店舗の場合、イオンのように多数の店舗区画があるような物件の貸家部分については、原則現在の賃料水準をもって総収益としますが、周辺の賃料相場を確認し、著しく相場との乖離がある場合には、標準化総収益として、長期安定的な収益に置き換えての査定や、今後賃料が増減額するリスクを利回りに織り込んで査定します。

※GOPとは

GOPとは、Gross Operating Profitの略で営業利益を指します。商業施設の売上から運営に係る経費を除いた収益を指しますが、一般的な営業利益の概念とは少し異なり、GOPに含まれる費用は商業施設運営者の責任範囲に限定されます。

尚、GOPに含まれない費用(物件オーナーの責任範囲)としては、減価償却費、金利、税金などがあります。


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