日銀の金融緩和縮小、長期金利の上限は0.5%に。為替は一時1ドル132円に

不動産実務

本日の金融政策決定会合において、従来0.25%程度としてきた長期金利の変動許容幅を0.5%に拡大することが決定された。

本日20日から適用されるとのことだ。

市場機能の改善が目的と理由を話されていた。

確かに、日本の債券市場はここ10年以上の間、金利は地を這うように0%付近に張り付いていたことで、債券トレーティングに面白みのある動きはなかった。

本日の発表の後、債券価格は急落し、一時国債ETFは8%ほど下落したタイミングもあった。

今後も利上げが続けば債券市場も価格の動きは活発になるかもしれない。

米国の国債ETFは今年の急激な利上げで、年初来15%程度価格が下落していることも考えると、0金利からの金融緩和縮小が債券価格に与える影響は大きい。

一方、それ以上に私が注視したいのは不動産価格への金利の影響である。

0金利政策下では少しの変動でも不動産価格への影響は大きいことは下記の記事でも述べた通りであるが、

キャップレートとマルチプル(超低金利インフレ下におけるキャップレート選択)
収益還元法(直接還元法)では、純収益(NCF)を還元利回りで割り返すことで収益価格を算定します。

金利が1%から1.25%に上昇するのと、0.25%から0.5%に上昇するのではインパクトの大きさが全く異なる。

前者の利払いは2割増しで済むが、後者は利払いが2倍になる。

突如として金利水準が2倍に上がってしまったら、投資法人の収益構造は著しく悪化するだろう。

不動産関係企業の業績に利上げは大きな痛手となる。

それを反映してか、本日だけで東証リート指数連動ETFは発表後5%以上下落した。

不動産投資においては、不動産の利回りと借入金利の差であるイールドギャップが重要な要素だ。

日本のように物価が上がりにくい国にとっては、不動産から生み出される収益を急激に上げることは難しいため、金利が低いことがこのイールドギャップを大きくし、これまで日本の不動産市場は投資のうまみがあった。

果たして金利上昇はどこまで行き着くのか、総裁の交代も迫っており、後任の総裁のスタンスがどうなるかにもよるだろうが、不動産市場からは目が離せない状況となりそうだ。

また、円は一時132円台、8月以来4か月分の円高水準となった。

ニトリHDの会長が来年は円高に転じるとコメントするなど、為替の安定はまだまだ先なのかもしれない。

もっともすべての動きを予測することは不可能だ。

ただ、思っていた通りにならないことには備えなければならないだろう。

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